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長過ぎね?俺の随筆(その38)『円高はなぜ起きる』

長過ぎね?俺の随筆

こんにちは。お元気ですか。私はお陰様で今日も元気です。元気であるにも関わらず私は今日も、ただぼんやりとテレビを眺めて暮らしてます。だけど、運動しようにもできない私は「ただぼんやりと」なんて言いつつ今日もまた、今すぐ目の前にテレビがないと困ってしまいます。テレビだけが頼りです。

 

あーあ。俺、テレビ依存症かな?でも今時そんな言葉はないもんなぁ。スマホ依存症という言葉ならあるけど。ひと昔前の「まだ依存症という概念がなかった時代」なら、「テレビを見過ぎると馬鹿になる上、更に見たく(視たく)なる」などと言われたものでした。まさしく「テレビ依存性」の名に相応しい(ふさわしい)です。子供の頃の私は「テレビ嫌いのお陰で、年令の割にテレビを見ない子」だったのですが、それでもなお子供心にも「バカになる素(もと)」のテレビ画面(点いてないやつ)が恐かったです。馬や鹿になってしまうと困るから、今回のテーマは頭脳の酷使を強要して止まない経済問題(第2弾)の「円高円安はなぜ起きる」です。

 

昨今は「株価史上最高」のニュースに耳目集中(じもくしゅうちゅう)し勝ちですが、この「史上最高」にも関わらず、「好景気のはずなのになぜかこの実感のなさ具合」がしばしば語られます。しかし、私は個人的には「株高」より「円高円安」のほうが、実感のなさを語る時には判っておきたいことだと思います。「株高=好景気」「円安=不況」と真逆なのですが、株高より円安のほうが、より強く、この「好景気の実感のなさ」を助長してると私は思うのです。見掛け上では株高が要因に見えるけど、私は逆だと思います。今回はこのテーマでお話を進めさせていただこうと思います。「円高円安はなぜ起きる」。出来るだけ、わかりやすく書こうと心掛けますが、なおそれでもわかりにくかったらすみません。

 

居室のテレビにおいて、今日もたまたま点いてた画面はまたも円安のニュース。その時、声高(こわだか)にアナウンサーに読み上げられてた原稿は、またしても「円安が今日も続伸して、リーマンショックの時の記録を超えて史上最高値に更に一段と接近しました」(まだ超えてないけど、おおげさに言っただけ)。

その時に映し出された画面は、またしても、ガソリンスタンドでのレギュラーガソリンの給油シーン。

 

えっ!?ちょっと待って。

 

当初はテレビ画面なんてろくすっぽ見てないから(ブログの下書きを書いてた)、「はて?ガソリンスタンド?先ほど『円安』と聞こえたような気がする。何の関連があるのだろう?」と思います。ああ、そうか!と思うまでちょっと間(ま)があります。絵と音が合致してないけど、最初から見てれば判ることです。これが毎日繰り返されます。

 

テレビは本当のことを言わない、としばしば語られます。ある面、大賛成です。しかし、このケースでは私はちょっと違うと思います。「本当のことを言わないんじゃなくて、言えないんじゃないのか?言ってる暇がないんじゃないか?ただ単に時間が足りないだけだよ」。時間を費やしても視聴者が理解してくれるかどうだかわからないことを延々と述べるより、生活実感に訴えたほうがまだ手っ取り早くてまだマシだ、という思いがあるためです。それに加えて円高円安というカラクリが難し過ぎる、という問題もあります。「ウーン、そう言われるとそれもそうだ、考えてみると難しい。円安円高のカラクリなんて俺にはよくわかんないや。いっそのことガソリンスタンドの風景ならば、俺の暮らしといかに密着してるかを暗に示唆して問題提起してくれようというものだ」なんて思ってます。あなたも思ってませんか?放映してるテレビ局側もそう思っているはずです。

ここで、長くなるけど円安円高のカラクリを説明してみます。おまえはいつも長過ぎるなぁ、なんていうのは言いっ子なしです。

 

まずは前提。めんどくさいだろうけど、これぐらい知っててね、ということです。

外国為替において、1ドルあたり(あくまでも1ドルあたりね)の円の数字が大きいと「円安」で、数字が小さいほど「円高」と呼んで、大きいほど「円安」と呼ぶのはご存知だと思います。海外ブランド品を買う時に、ドルに対する円が安いほど損して高いほど得、生活者にとっては感覚的に高い安いの呼び方が逆です。ここまでが前提です。誰でも知ってることです(常識とまでは言わないが)。

先ずレベル1。「円が安くて何が悪いの?安いと言ってお買得だとほめてくれるなら、それはいいことでしょう?」なんて思ってませんか?

いいえ、違います。外国産精肉が高くなりますよ。生活面で苦しくなりますよ。困るでしょ?そのからくりは後ほど。

 

レベル2。「円安はいつもどこでもすべからく悪で、私たちは常に円高を目指すべき」と思っていませんか?

いいえ、それは理解度の欠落です。円安で助かってる人もごくわずかだけではあるが存在するし、円高がいいことばかりではありません(特にトヨタ自動車やキャノンなどの輸出業者は、円安によって、思いがけない恩恵を受けてる)。円安によって大多数の人が激しく生活苦を感じてるだけです。最初のほうを云々するなら、理解度はレベル1の最低、2番目の問題をとやかく言うならそれは5コ中下から2番のレベル2です。円安だから助かるなぁ、という場面もないでもありませんが、一般論で言うと「円安は景気悪化の道しるべ」と言われてる、ただそれだけに過ぎません。自分を含めた誰かが儲かってる景色は、ニュース性が乏しいため、とかく語られないものです。言ってしまえばそれは両方とも、あってるとも言えるし、間違いとも言えます。そういう問題じゃありません。

 

でも「円安による弊害」は確かにあります。弊害を理解するということは、円安円高という現象を正しく理解さえしてれば、自ずから(おのずから)附いて来るものだと思います。

ならば、一歩レベルが進んでレベル3。「円安の弊害はわかるけど、なんで円安が止まらないの?」。輸入品は割高になり、海外旅行は当初の試算より予算不足、インバウンド観光客はウハウハ、という実情だけで感じます。100字ぐらい後でお答えします。

 

次にレベル4。そもそも「円安円高はなぜ起きる」。そもそも論になってしまいますが、このあたりをしっかり判ってないとだめだと思います。

 

最後にレベル5。30年前のバブル崩壊と今起きてる「円安の世の中」とのつながりは?プラザ合意が発端だと思うけど、日本はこのまま八方塞がりなの?日本はダメになる運命なの?敗戦国の日本は所詮アメリカ合衆国の言いなりなの?このあたりまで行くとだんだん私の理解度も怪しくなります。

 

レベルの違いは人それぞれです。テレビ制作者たちには、視聴者たちのレベルがわからないから生活実感に訴えるしかないのです。

 

なぜ円安が続くのか?の答えは一言で言えば「欧米との金利差」です。お買い得なほうを買おう、利子が多いほうを買おうというのは、至極当然な経済活動です。日銀総裁が黒田さんだったころ「異次元の金融緩和」とか言ってゼロ金利政策が世界で初めて実施されました。あの政策の目的は「インフレの誘発」、誘発?そんな言葉を使うから、インフレがいたずらに正義の味方に化ける。そしてその代わり副作用としての円安だけが表面化して、確かにインフレにはなったけど、世の中はふらふらです。インフレには「悪いインフレ」と「良いインフレ」の2種類あります。当初の狙い通りに、確かに世の中はインフレになりました。物価は値上げラッシュです。だけどこの日本は、悪いインフレになってしまいました。

良いインフレとは、「消費者たちはこれくらいの値上げには耐えられるだろう」と言って商品をちょっとだけ値上げする。値上げによって得た利益は一旦経営者の利益になる。経営者はその獲得した利益を内部留保に回すかも知れないし、設備投資に回すかも知れない。内部留保に回そうとしたら、その時は取り締まってやる法律を作ってやればいい。あちこちから異論続出するだろうが、力で抑え込んでやればいい。内部留保を阻止された経営者たちは、仕方ないから「獲得した利益の再配分」に取り掛かる。すなわち「賃上げ」だ。そして俺は将来高く評価されて「経済面の英雄」になるだろう。

 

「力で抑え込んで」のくだりはちょっと無理がないでもないけど(厳密に言うとちょっと違う)、話の流れはおおむねこのようなものです。

 

商品の値段の内訳は、

1位-加工費人件費

2位ー原材料費

3位ー運搬費及び倉庫保管費

4位ー光熱費。ガス、電気、水道、その他の燃料などのいわゆる光熱費

5位ー事務費。品質管理、品質保証、経理人事などのいわゆる事務費

6位ー開発費。設備投資とその償却及び生産技術、開発、製造技術、私設研究所などのいわゆる開発製造費

7位ー福利厚生及び対外宣伝費と社会保険費(正社員雇い入れで半額負担)

8位ー期限切れ及び返品償却

残ったものが純利益となります。

かように多岐にわたります。会社経営は、金儲けすることは、本当に難しいですね。苦労が絶えることなく果てしなく続きそうで、とても私にはできそうにありません。

 

良いインフレとは、値上げして得られた利益を1位の「人件費」に上積みしようというものです。それでなくても1位なのに更に上積み?経営者としては一筋縄ではいきません。抵抗あるに違いありません(未経験だから想像に過ぎないけど)。しかし、購買力が上がった労働者たちは、増えた収入を消費に回すかも知れません。ここで必要なのは「購買意欲を掻き立てる何か」です。ハードルは果てしなく続きます。それを「できる」って感じ?簡単には行きそうにもありません。一方「悪いインフレ」とは、2位に挙げた「原材料費」が上がってしまったからやむを得ず値上げした、というものです。

今、日本は「良いインフレ」と「悪いインフレ」のはざまにあると思います。ヨーロッパ諸国は「良いインフレ」を実現してます。中国以外のアジア諸国もそうです。インドがまさに「飛ぶ鳥を落とす勢い」です。ドイツとフランスの復活も見逃せません(特にドイツ、追い付かれた)。イタリアイギリスも好転しつつあります。良いインフレが興っているのです、羨ましく思います。だけど、うまく行ってない国もあります。かつての先進国のアルゼンチン・BRICSのチャンピオンの呼び声高き今や右往左往のブラジル・革命同然のベネズエラ・いつでもどっちつかずのトルコ・中国依存あからさまなエチオピア。どうなるんですかね。そして、私たちはどうなるんですかね?アメリカや中国はどうなるんですかね?気にせずにはいられません。

 

そもそも、インフレになる理由とは、いろいろあります。

お金を手当たり次第発行しまくるとインフレになります。紙幣をじゃんじゃん印刷しまくると、その瞬間は潤うけど、通貨が多すぎて通貨の価値がさがるのです。通貨をたくさん用意しなければなりません。

統治者に信用がないとインフレになります。紙幣という紙きれは発行者への信用そのものなのです。

労働者の給料が高過ぎてもインフレになります。商品が高くても手に入れたければ買ってしまうから、値上がりするのです。

借金が多すぎてもインフレになります。通貨量が増えたのと同じだからです。金利が下がれば借金しやすくなって、やがてインフレになります。これが日銀の狙いでした。

 

株高で感じた好景気に実感が伴わない理由は「円安のお陰で、生活感のもたげようとしてる頭を押さえつけられてる」です。

 

今後の成り行きを決定する経過期間、それを体験できることは貴重な体験です。今の私がそうであるように「ああ、あの時このように決まったんだよね」なんて、懐かしく思い出すかも知れません。先程述べた「プラザ合意」ですが、その当時の日本は輸出超過でウハウハで、更に円相場の関係で、売れば売るほど儲かったのです。そしてアメリカは「アメリカ製の車をもっと買え」と言って来ました。だけど、幌馬車みたいにリアピラー垂直型のアメ車のデザインは日本では受け入れは無理だったのです。それに加えてあの品質です。売れるはずがありません。

いわゆる「日米貿易摩擦」です。ただし、摩擦だと思ってるのはアメリカだけで、日本からみれば「ただのいちゃもん」難癖なんですけど。

それらを踏まえてアメリカが考え出した技は為替の差額です。円安ならばがばがばとは稼げないはず。そして二の手の手段として「自動車関税」を考案しました。日本人には為替に馴染みがありません。何言ってんだよねかよくわかんない、という有り様です。そこにこの「関税」は思いの他に「目眩まし(めくらまし)」になりました。日本国内は関税で大騒ぎ。主役の為替は見向きもされませんでした。これ幸いにと、アメリカはプラザという街に各国首脳を集めて、日本との「人為的金利差の発生」を約束させたのです。ついでにいえば、その時日本に対する関税も各国に約束させたのです。各国は日本の思惑と違って、これに賛成しました。これがプラザ合意です。今なら、挙国一致で大反対ですが、その当時は誰もわからなかったのです。そしてこれが「日本沈没」の始まりになってしまったのです。そしてそれは今でも続いてます。最近になって、反省したのか「日本沈没ミッション完了」と思ったのかは知らないが、アメリカさんも「TPP」とか言い出して「これで40年ぶりに狙い撃ちも終わりそうかな?」と思ったら、ドナルド・トランプの登場で元の木阿弥です。アメリカの思惑が利きすぎでした。トランプさんの言うこともわかるのですが(もっとも)、この30年の間に中国の台頭をみすみすと許してしまいました。いったい日本はこの呪縛から逃れることができるのでしょうか?

 

世の中の動向を知ることはなかなか大切だと思います。意外に面白いと思います。特に「物語りが繋がった時」。私はこれらを大学で教わったわけではありません(大卒の人にはわかるはず)。世の中の全ては理屈です。「あれがあれしてこうなって、◯◯だから◯◯になる」。個人的には好きでもありません。だけど「理屈っぽくてもしょうがない」のです。いろんな考えを持った全ての人を納得させるためには、感情論だけでは成し得ません。強い口調や、暖かみの溢れる言葉で話しかけても、どこかしらにほころびが出てしまうのです。

 

いやはや、今回も長くなってしまいました。その上、ちょっと回りくどかったですか?難しいことを平易な言葉で書こうと思ったらこのようになる、ということがよくわかりました。次回のブログのテーマは「雲はなぜ浮かぶ」の予定です。それではご機嫌よう、さようなら。